前回の記事では、イマーシブシアターというジャンルの特徴を紹介しました。今回は「実際にどこでオーディション情報を探せばいいのか」を、過去の募集例とあわせて具体的にまとめます。イマーシブシアターはまだ日本で始まったばかりのジャンルのため、声優や舞台俳優向けの大手オーディションサイトにも情報が載っていないことが多いのが実情です。
イマーシブシアターのオーディション情報の探し方
制作会社・カンパニーの公式SNSをフォローする
イマーシブシアターは一般公募のオーディションサイトよりも先に、制作を手がけるカンパニーの公式X(旧Twitter)やInstagramでオーディション情報が告知されることがほとんどです。「#イマーシブシアター」「#イマーシブ演劇」「#回遊型演劇」「#体験型演劇」などのハッシュタグで定期的に検索する、または過去に企画を実施したカンパニーのアカウントをフォローしておくと、募集開始のタイミングを逃しにくくなります。
SNSでの情報収集を習慣にするコツは、「通知をオンにするアカウントを厳選する」ことです。フォローを増やしすぎるとタイムラインに埋もれてしまうので、本命のカンパニー数社だけ通知オンにしておき、それ以外は週1回のハッシュタグ検索でカバーする、という二段構えがおすすめです。
note等のオウンドメディアをチェックする
「泊まれる演劇」は公式note「泊まれる演劇のトラベルマガジン」でオーディション情報を告知しています。新作公演のたびにキャスティング情報がまとめられているので、ブックマークしておくのがおすすめです。
noteは検索エンジンにも強いため、「イマーシブシアター オーディション note」といったキーワードでウェブ検索すると、思わぬカンパニーの募集記事が見つかることもあります。
体験型エンタメ業界の周辺にもアンテナを張る
イマーシブシアターの制作会社は、謎解きイベント、マーダーミステリー、テーマパークショーなど、他の体験型エンターテインメントも手がけていることが多くあります。演劇業界の求人だけを見ていると見逃してしまう募集が、体験型エンタメ業界の求人経由で見つかることもあるのです。「テーマパーク キャスト募集」「体験型イベント 演者募集」といった検索ワードも試してみてください。
過去に実施されたオーディション例
現時点でイマーシブシアターの公募オーディションが常に開催されているわけではありませんが、過去の募集例を知っておくと「どんな人が」「どんな条件で」募集されているのかのイメージがつかめます。※以下は募集終了済みの過去の事例です。今後の参考としてご覧ください。
泊まれる演劇 2026年大阪・京都公演
実在するホテルを舞台にした公演のキャスティングオーディションが実施されました。俳優経験だけでなく、楽器演奏・シンガー・ダンサー・MC・大道芸など幅広いパフォーマーが対象で、1年以上の演技または身体表現の経験がある方が主な応募条件でした(募集は締切済み)。詳細は公式noteの募集記事で確認できます。
この募集で特徴的だったのは、選考プロセスが「書類選考→Zoom面談」という流れだった点です。地方在住でも応募しやすい形式で、演技の実技審査だけでなく、人柄やゲストへの向き合い方を重視する姿勢がうかがえます。イマーシブシアターではホスピタリティが重要視されることの表れといえるでしょう。
ホリプロステージ「RE:PLAY AFTER SCHOOL」
大手芸能プロダクション系列のホリプロステージが手がけたイマーシブ演劇作品のキャストオーディションです。倍率は約40倍にのぼったとされ、注目度の高さがうかがえます(募集は終了済み)。大手が本格参入したことで、今後同様の企画が増える可能性は十分にあります。
REBOOT 新人声優&アイドルオーディション
イマーシブシアター専門ではありませんが、2.5次元やイベント出演など幅広い案件を扱う声優事務所のオーディションで、2026年7月31日まで応募を受け付けています(対象10〜45歳、性別不問)。こうした一般公募型の事務所オーディションに合格し、事務所経由でイマーシブ系の案件情報を得るというルートもあります。詳細はオーディションプラスの掲載ページでご確認ください。
イマーシブ系オーディションでアピールできる経験の棚卸し
イマーシブシアターのオーディションでは、通常の舞台では評価されにくい経験が強力なアピール材料になることがあります。応募書類を書く前に、自分の経験を一度棚卸ししてみましょう。
接客・サービス業の経験
ホテル、飲食店、テーマパーク、イベントスタッフなどの経験は、イマーシブシアターで重視される「ゲストへのホスピタリティ」の証明になります。「アルバイト経験なんて書いていいの?」と思うかもしれませんが、このジャンルでは立派な職能です。お客様対応で心がけていたことを具体的なエピソードとして用意しておきましょう。
マーダーミステリー・謎解き・インプロの経験
マーダーミステリーのGM経験、謎解きイベントのスタッフ経験、インプロ(即興演劇)のワークショップ参加歴などは、「参加者と直接関わりながら物語を進行させる力」の裏付けになります。趣味として楽しんできたことでも、イマーシブシアターの文脈では実務経験に近い価値を持ちます。
演技以外のパフォーマンススキル
歌唱、ダンス、楽器演奏、殺陣、マイム、大道芸など、身体を使った特技はすべて書き出しておきましょう。イマーシブ公演では俳優が生演奏やパフォーマンスを兼ねることが多く、「演技+α」を持っている人材は選考で有利になりやすいのです。
情報収集を仕組み化しよう
イマーシブシアターの募集は数が少なく、タイミングも不定期です。だからこそ、「見つけたときに即応募できる状態」を作っておくことが合否を分けます。
具体的には、次の3点をあらかじめ準備しておくのがおすすめです。
①宣材写真(上半身・全身)を最新のものに更新しておく
②自己PR文のベースを作っておき、募集ごとに調整するだけの状態にする
③特技や出演歴をまとめた芸歴書のデータをすぐ送れる形で保存しておく
募集期間が1〜2週間と短いケースもあるため、「書類を準備している間に締め切られた」という事態は避けたいところです。準備が整っていれば、SNSで募集を見つけたその日のうちに応募できます。
応募前に確認したい3つのチェックポイント
イマーシブシアターの募集は新しいジャンルゆえに、条件面の相場がまだ固まっていません。応募前に以下の3点は必ず確認しましょう。
①拘束期間と公演数
イマーシブ公演は1日複数回×長期間の上演になることが多く、通常の舞台よりも拘束が長くなりがちです。稽古期間・公演期間・1日のステージ数を確認し、他の仕事や舞台と両立できるかを検討してから応募しましょう。
②報酬形態
公演によって、固定給、ステージごとのギャランティ、チケットバック制などさまざまです。「出演できれば何でもいい」と飛びつかず、契約条件を書面で確認する習慣をつけてください。長期公演の場合、条件の差が収入に大きく響きます。
③求められるスキルの範囲
歌唱・ダンス・楽器・アクションなど、演技以外のスキルが必須条件になっている募集も少なくありません。応募条件を満たしていない状態で応募しても書類で落ちてしまうため、自分のスキルセットと募集内容のマッチ度を冷静に見極めることが大切です。
応募前に基礎力を整えておこう
イマーシブシアターは即興力や身体表現力が問われるジャンルですが、土台になるのはやはり基礎的な演技力・発声力です。募集が始まってから慌てないよう、日頃から基礎を磨いておきましょう。オーディション対策については「舞台俳優オーディション対策 初心者が知るべき5つのこと」、発声の鍛え方については「声優・俳優にボイストレーニングはなぜ必要なの?」もあわせてご覧ください。
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よくある質問
Q. 地方在住でも応募できますか?
企画によります。「泊まれる演劇」のように書類選考とZoom面談で完結するオーディションなら、地方在住でも応募のハードルは高くありません。ただし合格後の稽古・公演は現地参加が基本なので、公演地までの交通費や滞在費を自己負担できるか、事前に確認しておきましょう。募集要項に「遠方の方には優遇制度あり」といった記載があるケースもあるので、諦める前に細部まで読むことが大切です。
Q. 事務所に所属していても応募できますか?
ほとんどの募集で「所属事務所の許可を得ること」が条件になっています。無断で応募するとトラブルの元になるので、必ず事前にマネージャーや事務所に相談してください。フリーで活動している方は、その点では動きやすいといえます。
Q. 出演経験がほとんどありませんが挑戦できますか?
「1年以上の演技経験」など最低ラインが設定されている募集が多いのは事実です。ただ、経験年数よりも「ゲストと向き合える人柄」や「特技の掛け合わせ」を重視する傾向があるのもこのジャンルの特徴です。経験が浅いうちは、インプロのワークショップや小規模な体験型イベントの演者から実績を積んでいくルートが現実的でしょう。
まとめ
イマーシブシアターのオーディションは、一般的な求人・オーディションサイトよりもSNSや制作会社のオウンドメディアに情報が集まりやすいジャンルです。気になるカンパニーの公式アカウントをフォローしつつ、拘束期間や報酬などの条件確認も忘れずに。まずは基礎的な演技力・発声力を磨きながらチャンスを待ちましょう。新しい情報が入り次第、このページも更新していきます。


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