
「初めての稽古場、何を持っていけばいいんだろう……?」
稽古初日が近づくと、持ち物が気になる人は多いはずです。
台本だけ持っていけばいいのか、飲み物は持ち込めるのか、サポーターは必要なのか。意外と迷うポイントがたくさんあります。
この記事では、舞台俳優が稽古場に持っていくものを7つに整理して解説します。
あわせて、持っていく前に確認しておきたいことや、稽古の段階ごとの考え方もまとめました。
なお、稽古場のルールは劇団・制作会社・演出家によって異なります。この記事のリストは一般的な目安です。実際には、主催者から届く稽古案内を最優先にしてください。
稽古場の持ち物は「3つの視点」で考える
持ち物を考えるときは、次の3つの視点で整理すると抜け漏れが減ります。
- 台本を育てる
演出の指示や気づきを、その場で台本に残すための道具 - 体を守る
動き続ける稽古で、怪我や疲れを溜めないための道具 - 長丁場を乗り切る
数時間続く稽古で、集中力と体力を保つための道具
稽古は、立ち稽古の段階になると長時間動き続けることもあります。「台本さえあれば大丈夫」と考えず、体と集中力を支えるものまで含めて準備しておくのがおすすめです。
初めての現場ほど、「足りなくて困る」より「多すぎて邪魔になる」ことも起こりやすいため、次のリストを基本形として、現場に合わせて足し引きしていきましょう。
稽古場の持ち物リスト7つの必需品
① 台本と書き込み用の筆記用具
最優先は台本です。稽古では演出家の指示が次々に入るため、台本には書き込みが増えていきます。
筆記用具は、消せる鉛筆かシャープペンを基本に、重要な指示だけ色ペンという組み合わせが使いやすいと言われます。演出が途中で変わることも多いため、消せる筆記具のほうが台本をきれいに保てます。付箋やマーカーがあると、ページの目印や気づきのメモにも便利です。
台本の書き込み方については舞台俳優の本読み・顔合わせ入門|台本の書き込み方と好印象を残す5つのコツでも解説しています。
② 動きやすい稽古着と着替え
稽古着の基本は、動きやすいことです。ジャージやストレッチ素材のパンツなど、しゃがむ・走る・寝転ぶといった動きをしても邪魔にならない服が向いています。
汗をかくことも多いため、Tシャツやインナー、靴下の替えがあると、終わった後まで快適に過ごせます。稽古場に着いたらそのまま始められて、終わればそのまま帰れる服を選ぶ人もいるようです。
ただし、役柄の雰囲気に近い服装(スカートや和装など)を指定される稽古もあります。服装の指定がないかは、案内で必ず確認しましょう。
③ 飲み物とタオル
長時間動く稽古では、水分補給が欠かせません。水やお茶などの飲み物と、タオル(手ぬぐいなど)は、多くの人が持っていくものです。
声を使う稽古が続くときは、冷たすぎる飲み物よりも常温に近いもののほうが、喉への負担が少ないと言われます。稽古場によっては飲み物の持ち込みやこぼれ対策のルールがあるため、フタ付きの容器を選ぶと安心です。
- 選び方のポイント
フタやキャップがしっかり閉まり、倒しても漏れにくいもの - タオルの使い分け
汗を拭く用と、手や顔を拭く用で分けておくと清潔に保てます
④ 室内履きなど足元のもの
稽古場は、土足禁止で室内履きが必要なところもあれば、スタジオのように裸足や靴下で動くところもあります。必要な靴の種類は、稽古の内容によっても変わります。
基本は、脱ぎ履きしやすい室内履きと、替えの靴下を1セットにしておくと、どちらの場合にも対応しやすくなります。殺陣やダンスが入る稽古では、指定の履物が案内されることもあります。
⑤ 体のケア用品(サポーター・テーピング・絆創膏・常備薬)
動き続ける稽古では、小さな痛みや擦り傷はつきものです。絆創膏、テーピング、普段使っている膝や足首のサポーター、常備薬を小さなポーチにまとめておくと、いざというときに慌てません。
痛みを我慢して続けると悪化しやすいと言われています。違和感があるときの対処や、怪我を防ぐ習慣については舞台俳優の怪我予防|稽古・殺陣・マチソワで故障しない5つの習慣で詳しく解説しています。
⑥ 補食と小さなバッグ
稽古が昼から夜まで続く日は、食事のタイミングがずれることもあります。バナナやナッツ、ゼリー飲料、おにぎりなど、エネルギーを補えるものを1つ入れておくと、集中力の低下を防ぎやすくなります。休憩時間が短いこともあるため、手早く食べられるものが向いています。
においの強いものは周りの迷惑になる場合があるため、避けておくのが無難です。
また、荷物をまとめる小さめのバッグや袋も用意しておきましょう。稽古場では私物の置き場所が決まっていることが多く、荷物がコンパクトだと、共演者の動線をふさぐ心配が減ります。
⑦ スマホまわり(充電器・モバイルバッテリー・イヤホン)
稽古のスケジュール確認や連絡、音源の確認にスマホを使う場面は多くなっています。充電器かモバイルバッテリーがあると、1日の途中でバッテリーが切れる心配がありません。
なお、稽古中の録音・録画は、必ず事前に演出家や制作に確認してからにしましょう。作品の権利や共演者への配慮から、禁止されている現場もあります。稽古中にスマホを触るタイミングにも気を配りたいところです。
持っていく前に確認したい3つのこと
持ち物リストを埋めることよりも先に、次の3つを確認しておくと安心です。
- 稽古案内に書かれた持ち物と服装の指定
台本以外に、指定の靴や、役に近い服装が書かれていないかを確認します。 - 飲食・持ち込みのルール
飲み物は可でも、食べ物は休憩室のみというように、稽古場ごとに決まりがあります。 - 荷物の置き場所と貴重品の管理
貴重品をどこに置くのかを、初日に確認しておきます。
分からないことは、初日に制作や先輩に聞いて構いません。聞かずに自己判断するより、確認するほうが安心して稽古に入れます。稽古場での振る舞い全般については舞台俳優の稽古場マナー5選|遅刻・私語・私物管理で信頼を守るコツもあわせてご覧ください。
稽古の段階によって、持ち物の優先順位は変わる
一般的な稽古は、本読み、立ち稽古、通し稽古、ゲネプロと進んでいきます。それぞれの段階で、あると助かるものは少しずつ変わります。
- 本読み・読み合わせ
台本と筆記用具、付箋が中心です。動きは少ないので、服装は楽なもので構いません。 - 立ち稽古
動きが増えるため、稽古着、サポーター、替えの靴下、飲み物の優先度が上がります。 - 通し稽古・ゲネプロ
長時間になりやすいので、補食、モバイルバッテリー、ケア用品が頼りになります。
毎回すべてを持ち歩く必要はありません。その日の稽古の内容を確認して、バッグの中身を入れ替えるのが現実的です。
稽古バッグの詰め方のコツ
持ち物がそろっても、バッグの中でぐちゃぐちゃになっていると、必要なときにすぐ取り出せません。次のような工夫で、稽古中の出し入れがぐっと楽になります。
- 使う頻度で分ける
台本・筆記用具・飲み物は取り出しやすい場所に。着替えや補食は奥に入れます。 - 小物はポーチでまとめる
ケア用品、ヘアゴム、充電器をポーチ別にすると、探す時間が減ります。 - 濡れたものは分けて入れる
汗をかいた服やタオルは、袋に入れて台本と離しておきます。 - 台本は折れにくくしておく
クリアファイルやバインダーに入れると、角が傷みにくく、書き込みもしやすくなります。
前日の夜にバッグを詰めておけば、当日の朝に慌てることもありません。稽古場に着いたときに、気持ちに余裕を持てるのも大きなメリットです。
注意したい持ち物・持ち方
- 貴重品を稽古場の隅に出したままにする
盗難や紛失のもとになります。小さなバッグにまとめ、管理の方法を確認しましょう。 - 香りの強い整髪料・香水・食べ物
狭い稽古場では、においが気になる人もいます。控えめにしておくのが無難です。 - 大きすぎる荷物
置き場所をふさぎ、共演者の動線の妨げになります。必要なものだけに絞りましょう。
よくある質問
Q. 稽古着はジャージでもいいですか?
動きやすければ、ジャージで問題ない現場は多いです。ただし、役柄に合わせた服装や、動きの確認に必要な服(スカートや着物など)を指定されることもあります。稽古案内に書かれていれば、それに従ってください。
Q. 台本はスマホやタブレットで見てもいいですか?
紙の台本を基本とする現場が多く、画面の光や操作音が気になるという理由で、デジタルの台本を控えるよう案内されることもあります。使いたい場合は、事前に演出家や制作に確認しましょう。
Q. 忘れ物をしてしまったときはどうすればいいですか?
正直に周りへ伝えるのが一番です。筆記用具や絆創膏のような小さなものは、共演者やスタッフが貸してくれることもあります。稽古に直接関わる大事なものを忘れたときは、休憩時間に近くの店で調達できるか、制作に相談してみましょう。
今日からできること
- 稽古案内を読み直す
持ち物と服装の指定を、もう一度チェックします。 - ケア用品のポーチを1つ作る
絆創膏、テーピング、常備薬、ヘアゴムをまとめて、バッグに入れっぱなしにしておきます。 - 稽古バッグを前日に詰める
7つのリストを見ながら、前日の夜に準備を終えておきます。 - 使わなかったものをメモする
稽古が終わるたびに、使わなかったものと足りなかったものを書き留めて、次の稽古に生かします。
まとめ
稽古場の持ち物は、①台本と筆記用具、②稽古着と着替え、③飲み物とタオル、④室内履きなど足元のもの、⑤体のケア用品、⑥補食と小さなバッグ、⑦スマホまわり、の7つが基本です。
ただし、いちばん大切なのは、主催者から届く稽古案内を確認することです。現場によって持ち込みのルールや服装の指定が違うため、リストはあくまで目安として使ってください。
持ち物の準備が整っていると、稽古そのものに集中できます。あなたの稽古が実りあるものになるよう、心から応援しています。

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