
「アフレコ現場に行ったら、知らない言葉ばかりで戸惑った……」
声優を目指す人が最初にぶつかる壁のひとつが、現場で飛び交う専門用語です。
意味がわからないまま聞き流すと、指示についていけず、焦りだけが残ってしまいます。
この記事では、収録現場でよく使われる用語12個を、使われる場面とあわせて整理しました。
読み終えるころには、初めての現場でも落ち着いて対応できるイメージが持てるはずです。
なぜ現場用語を知っておく必要があるのか
現場用語は、短い掛け声で全員の認識をそろえるための共通言語です。
「テストします」「本番いきます」の一言で、スタッフと演者全員が次に何をすべきか理解できる仕組みになっています。
逆に言えば、用語を知らないまま現場に入ると、指示の意味を聞き返す時間が発生し、収録全体のテンポを乱す原因になりかねません。
現場はスケジュールが分単位で組まれていることが多く、確認のやり取りが増えるほど、他のキャストやスタッフを待たせることにもつながります。
用語を知らないまま現場に入った新人が、指示の意味を聞き返せず曖昧な返事をしてしまい、同じ修正を何度も繰り返すことになる、というケースは現場でよく聞かれる話です。
一つひとつの用語を知っているだけで、こうした行き違いの多くは防げます。
新人のうちは多少の聞き返しは許容されますが、基本的な言葉だけでも事前に頭に入れておくと、現場での立ち回りがぐっと楽になります。
逆に、用語の意味を知っているだけで「準備してきた人」という印象を与えられることもあります。
収録の流れで使われる用語
まずは、収録が進んでいく順番に沿って使われる言葉から見ていきます。
- 本読み
収録前に台本を声に出して読み合わせる工程です。
ディレクターが作品全体の方向性や、キャラクターに込めたい空気感を伝える場になることが多いとされています。 - テスト
本番前に行う試し録りです。
芝居の方向性や尺(後述)、映像とのタイミングを確認する目的で行われ、この段階の音声は基本的に作品には使われません。 - 本番
実際に収録し、作品に使われるテイクです。
「テスト」「本番」という掛け声で切り替わることが多く、本番後にディレクターから演技について指摘が入ることもあります。 - リテイク
演技や音声に修正が必要なとき、同じ箇所を録り直すことです。
「もう一度お願いします」という指示とセットで使われることが多い言葉です。 - NG
台詞が噛んだ、音がかぶった、尺が合わなかったなど、そのテイクが使えないと判断されたことを示す言葉です。
NGが出ること自体は珍しくなく、現場ではごく日常的なやり取りとして扱われます。
この一連の流れが実際にどんなタイムスケジュールで進むのかは、声優の収録当日5つの流れ|起床・香盤表・リハ・本番までのリアルな1日でより詳しく紹介しています。
あわせて読むと、ここで挙げた用語が1日の中でどのタイミングで登場するのかがイメージしやすくなります。
台本・演技に関わる用語
- 香盤表(こうばんひょう)
収録の順番やキャストの入り時間、収録場所などをまとめた進行表です。
スタッフはこの表をもとに準備を進め、キャストは自分の出番のタイミングを把握します。 - 尺(しゃく)
台詞や場面にかけられる時間の長さのことです。
「尺が合わない」は台詞の長さが映像の尺に対して長すぎる・短すぎる状態を指し、「尺を合わせる」は言い回しを調整してタイミングを合わせることを意味します。
たとえば「尺が0.5秒オーバーしている」と言われたときは、言葉を若干早口にする、間を短くするなど、意味を変えずに調整する技術が求められます。
こうした微調整は養成所のレッスンや現場経験を重ねる中で、少しずつ感覚として身についていくものです。
- かぶせ
すでに録った台詞や音に重ねて別の音声を録ること、または会話の中で声が重なる部分を指す言葉です。
使い方は現場によって多少幅があるため、初めて聞いたときは文脈から判断するとよいでしょう。 - 口パク・リップシンク
キャラクターの口の動きに合わせて台詞を発声することです。
実際には口の動きに完璧に合わせることよりも、キャラクターの呼吸や間、空気感を出すことの方が重視されると言われています。
演出・現場コミュニケーションの用語
- ディレクション
音響監督やディレクターから演者に伝えられる演技の方向性や指示のことです。
台本に書き込まれた句読点や記号も、ディレクションを補う合図として使われることがあります。 - アフレコ・アテレコ
完成した映像に合わせて、後から台詞や音声を録音することです。
アニメ、ゲーム、吹き替え作品など幅広いジャンルで使われる、収録方式そのものを指す言葉です。 - プレスコ
アフレコとは逆に、先に音声を録ってから、それに合わせて映像や作画をつける方式です。
現場で求められる対応力がアフレコとは異なる点については、プレスコとアフレコの違い|声優に求められる4つの対応力の差を解説で詳しく比較しています。
同じ「後から声をあてる」収録方式でも、アフレコとプレスコでは演技の組み立て方や求められる技術が大きく異なります。
両方を経験すると、自分がどちらのスタイルにより強みを持っているかも見えてきます。
これらの演出用語がどんなマナーとセットで運用されているかは、声優のアフレコ現場マナー5選|香盤表・ディレクション対応・NGを解説もあわせて読んでおくと、現場での立ち回りがより具体的にイメージできます。
用語を覚えるより大事なこと
ここまで12個の用語を紹介しましたが、すべてを丸暗記する必要はありません。
大切なのは、聞いたことのない言葉が出てきたときに慌てず、「後で確認すればいい」と思えることです。
現場では、わからない言葉が出てきたときにその場で質問しても問題ない空気であることがほとんどです。
知ったかぶりをして的外れな対応をするより、ひとこと確認する姿勢の方が結果として信頼につながります。
また、用語の使い方は現場やスタジオによって細かく異なる場合があります。
この記事で紹介した意味はあくまで一般的な目安としてとらえ、実際の現場ではその場のニュアンスに合わせて柔軟に対応することが求められます。
今日からできること
- この記事の用語に一通り目を通しておく
全部覚えなくても、一度目にしておくだけで現場での理解速度が変わります。 - 台本の読み合わせを声に出して練習する
本読みの感覚に慣れておくと、実際の現場で戸惑う場面が減ります。 - わからない言葉が出たときの対応を自分の中で決めておく
「後で調べる」「休憩時間に聞く」など、自分なりのルールを決めておくと焦らずに済みます。 - 先輩や養成所の講師に現場のリアルな使われ方を聞いてみる
辞書的な意味だけでなく、現場ごとのニュアンスを教えてもらえることがあります。
よくある質問
Q. 用語を覚えていないと現場に入れてもらえませんか?
そんなことはありません。
新人のうちは用語を知らないのが前提で現場が進むことも多く、わからない言葉が出てきたときに聞き返すこと自体は失礼にあたりません。
ただし、同じ質問を何度も繰り返すと準備不足という印象につながりやすいため、一度聞いた言葉はメモしておくと安心です。
Q. 用語はどこで体系的に学べますか?
養成所や専門学校の授業では、座学だけでなく実際の収録に近い形で用語を使いながら教わる機会があります。
独学の場合は、台本の読み合わせを録音して聞き返したり、先輩のブログやインタビュー記事で現場の言い回しに触れたりするのも有効です。
Q. 事務所や作品によって用語の使い方は変わりますか?
変わることがあります。
同じ「かぶせ」という言葉でも、スタジオによって指す範囲が微妙に異なる場合があるとされています。
この記事の説明はあくまで一般的な目安として捉え、現場では周囲のスタッフや先輩の使い方に合わせて柔軟に対応するのが基本です。
Q. アフレコとプレスコ、収録前に確認しておくべきことはありますか?
どちらの方式で収録するかによって、台本の読み込み方や間の取り方の準備が変わってきます。
事前にどちらの収録方式かを確認しておくと、本読みの段階から的確な準備がしやすくなります。
まとめ
声優の現場用語は、スタッフと演者が短い言葉でスムーズに連携するための共通言語です。
香盤表・テスト・本番・リテイク・尺・ディレクションなど、よく使われる言葉を一通り知っておくだけで、初めての現場でも落ち着いて臨めます。
完璧に覚えていなくても大丈夫です。
わからないことは現場で確認しながら、少しずつ感覚をつかんでいきましょう。
あなたの声優デビューを、心から応援しています。

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