
「マチネとソワレ、同じ日に2回も舞台に立つなんて、正直しんどい……」
初めてマチソワのスケジュールを渡されたとき、多くの舞台俳優がそう感じます。
朝から夜まで劇場に拘束される長い1日を、どう乗り切ればいいのか。
ロングランでマチソワが続く週は、2回目の本番で声が思うように出なくなることがあります。
体力配分と喉のケアには、人一倍気を配りたいところです。
今日は、体力配分・喉のケア・食事のとり方まで、マチソワを乗り切る具体的なコツをお伝えします。
これから長期公演やロングランに挑む方の参考になれば幸いです。
マチソワとは何か
マチソワとは「マチネ(昼公演)」と「ソワレ(夜公演)」を同じ日に2回行うスケジュールのこと。
商業演劇や長期公演の週末・千秋楽前後によく組まれる形式です。
典型的なタイムテーブルは、マチネが13時開演・15時半終演、ソワレが18時開演・20時半終演というように、休憩時間は2〜3時間程度が一般的。
この短い時間で、食事・着替え・メイク直し・休息をすべて済ませ、体力と声をリセットして次の本番に臨む必要があります。
1回目の公演の疲労を2回目にどれだけ持ち越さないか。
これがマチソワの日の芝居の質を大きく左右します。
マチソワを乗り切る3つの観点
①体力の配分
1回目の公演で全力を出し切ってしまうと、2回目で足が上がらなくなったり、動きにキレがなくなったりします。
大事なのは「6〜7割の力で出し切る」感覚を稽古の段階から身につけておくこと。
本番中はアドレナリンが出て力みやすいものですが、殺陣やダンスなど身体を大きく使うシーンほど、力の入れどころと抜きどころを意識しておくと、本番でも無意識にセーブできるようになります。
舞台俳優に必要な体力・声・即興力の鍛え方で紹介している基礎体力づくりも、マチソワを乗り切るための土台になります。
②喉・声のケア
2公演続けての本番で一番消耗するのが喉です。
休憩中に大声で喋りすぎない、乾燥した空間を避ける、常温の水をこまめに飲むといった基本を徹底するだけでも、2回目の発声のしやすさが変わります。
休憩中は、できるだけ「声を出さずに過ごす時間」をつくるのがおすすめです。
共演者との会話も、ジェスチャーやメモで済ませられる部分は済ませるくらいの意識でちょうどいいと感じています。
楽屋に小型の加湿器を持ち込む役者も多く、乾燥する時期は特に効果を感じます。
③メンタル・集中力の切り替え
1回目の本番の出来を引きずったまま2回目に入ると、集中力が乱れがちです。
反省は後でまとめてすればいい、と割り切って、休憩中は一度気持ちをオフにする時間を意識的につくりましょう。
好きな音楽を聴く、軽く目を閉じる、共演者と芝居以外の雑談をするなど、方法は人それぞれ。
大切なのは「1回目の公演を引きずらない」スイッチを、自分なりに持っておくことです。
マチソワ本番を支える実践的な工夫5つ
マチソワの日に取り入れたい工夫を、5つにまとめました。
- ①休憩開始5分は横になる
着替えより先にまず身体を横にして、心拍数を落とす時間を優先します。この5分があるだけで、その後の動き方がまったく変わります。 - ②消化の良い軽食にする
おにぎりやバナナ、うどんなど、腹持ちしつつ胃に負担をかけない食事を選びます。揚げ物や量の多い食事は眠気と消化不良のもとになるため、休憩中は避けるのがおすすめです。 - ③常温の水と喉飴を切らさない
冷たい飲み物は喉の粘膜を冷やしてしまうため、休憩中は常温か白湯を選びます。楽屋には常に喉飴とペットボトルを置いています。 - ④照明を落として目を休める
視覚情報を減らすだけでも、脳の疲労感がかなり和らぎます。アイマスクを使う役者も少なくありません。 - ⑤本番前ルーティンは2回目も省略しない
舞台俳優の本番当日5つの流れ|楽屋入り・声出し・衣装チェックから開演までで紹介している発声と身体のストレッチを、1回目と同じ密度で2回目にも必ず行うことが、安定した芝居につながります。
ちなみに、イマーシブシアターでは1日3回転という現場もあり、そちらはさらにシビアな体力管理が求められます。
興味のある方はイマーシブシアター俳優の喉と体力ケア|1日3回転を乗り切る5つの習慣もあわせてご覧ください。
マチソワでやりがちな失敗
マチソワでよくある失敗も共有しておきます。
ひとつは、休憩中に差し入れをたくさん食べてしまい、2回目の本番中に胃もたれで動きが鈍くなるパターン。
差し入れへのお礼と自分のコンディション管理は、別問題として切り分けて考える必要があります。
もうひとつは、1回目の反省を共演者と長々と話し込んでしまい、休憩時間の大半を「反省会」に使ってしまうケースです。
気持ちはわかりますが、身体を休める時間が削られると、結局2回目のパフォーマンスに響いてしまいます。
反省は付箋やメモに一言だけ残し、本番後にまとめて振り返るくらいがちょうどいいバランスです。
また、休憩中にスマートフォンでSNSを長時間チェックしてしまい、目と脳が休まらないまま2回目に突入してしまうのもよくある失敗のひとつ。
意識して画面から離れる時間をつくることも、立派なコンディション管理の一部です。
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マチソワのように喉への負担が大きい現場が続く時期こそ、日頃のボイストレーニングの土台が効いてきます。
喉のコンディションは一朝一夕では変わらないからこそ、稽古期間のない時期にこそ発声の基礎を鍛えておきたいところです。
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で、発声の基礎から見直してみるのもひとつの方法です。
声優を目指す方向けにはなりますが声優向けボイトレスクール比較も発声トレーニングの選び方の参考になります。
今日からできること
- 休憩時間の使い方を決めておく
「最初の5分は横になる」「食事は◯分以内」など、自分なりのルーティンを事前に決めておきましょう。 - 公演当日の食事メニューを見直す
消化に時間のかかるものを避け、軽めで腹持ちする食事を選ぶ習慣をつけましょう。 - 喉のケアグッズを常備する
常温の水、喉飴、マスクなど、休憩中にすぐ使えるように準備しておきましょう。 - 1回目の反省は本番後にまとめる
休憩中は反省会をせず、切り替えの時間として使うことを意識しましょう。
まとめ
マチソワは体力的にも精神的にもハードなスケジュールですが、休憩時間の使い方ひとつで2回目の芝居の質は大きく変わります。
力を出し切るのではなく「配分する」意識を持つこと、そして喉と身体を労わる小さな習慣の積み重ねが、長期公演を最後まで走り切る力になります。
あなたの舞台人生を、心から応援しています。
あわせて読みたい:舞台俳優の怪我予防|稽古・殺陣・マチソワで故障しない5つの習慣


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